深夜の脳内

深夜の脳内を深夜中に記し深夜のテンションでupする深夜系日記

暗黒記憶断片(暗黒)

Tehuさん(詳しくは知らない)が「生まれてからこれまでを徐々にまとめていく連載「tehuの話(仮)」」なるものを始めるらしい。

私もパクろ‼‼
名付けて「黒歴史故に断片的な今までの記憶をテキトーに書き散らす連載(続かない)「おもひで(仮)」



第一回「リコーダーに付いてるワセリンを危ないお薬だと勘違いした話」



児童クラブ……それは小学校低学年の悪魔たちが集う万魔殿。
そこには安寧など存在しない。屍さえ食いつくす餓鬼の巣窟。正しく魔境。
渦巻く陰謀。裏切り。張り巡らされる罠。権謀術数。そして、グループ間の抗争、集団リンチ(ドッヂボール)。
無事に家に帰りたければ、この悪夢の様な3時間、一時も気を抜いてはいけない。
たとえば、そう、自由時間であっても。
 夕暮れ、人通りの少ない敷地の外れ。
「へ、へへ、見てくれよ、これ」
そう言ってKが差し出したのはオレンジ色の蓋の、丸い箱だった。
「これはヤバいぜ、多分アイツらが隠したんだ」
へへ、へとKは不愉快な笑いをたてる。
「俺は見たんだ、3年のヤツらがよ、昨日この辺りでたむろしてたんだ」
多分その時隠したんだぜ。そう言ってKはその容器を両手で包み、体全体で隠すように、曲がった腰をより一層折り曲げた。
 強制労働(土手掃除)が終われば、首領たちは、計略に明け暮れ、下っ端たちは情報集めに走り回る自由時間。私たちあぶれものにとっては、彼らの目に入らぬ所で縮こまってさえいれば平和に過ごせる天国みたいな時間だ。
 私は臆病者特有のある種の勘で、Kがその平和を壊そうとしていることを直感した。
「着いてきな」
かれは不自然なまでの猫背をそのままに、フェンスに向かって歩きだした。
その間もKはあの不愉快で不気味な笑い声を、絶え間なく続けている。
 かれは鎖で閉ざされているフェンスを急いで開けると、敷地外に出て、手招きをした。
「早くしろよ、センセイに見つかるぞ」
 私は曖昧に頷いてかれに続いた。
普段の私ではあり得ないことだった。
私は所謂、典型的優良児童というやつで、課される義務をしっかりと果たし、どのグループとも適度に距離をおき、罪を犯したことなど、今まで一度もなかったのだ。
それが今、大きな罪を犯しつつある。敷地外に出るなど重罪だ。
「へ、ビビってんのか。……ふん、まあいい。」
かれは例の容器をなで回している。
「なあ、知ってるか?これは天国への切符だぜ。このつまんねえ日常とオサラバするための魔法だ」
魔法。その単語は私達が使うには余りに少女趣味的で、しかし、今の非日常な状況には不思議に見合う様な気がした。
「あのクソ野郎達の言う魔法とは別物さ。あれは脅しと嘘と、雀の涙程度の友情を鍋にぶちこんで煮詰めたような代物だ」
そうだ、グループに入れば束の間の平安は得られる。しかしその平安は人間らしさを、自由意思を奪う。
「そうなるくらいなら、自ら死んだ方がましだと、そう思わねぇか」
私は彼が持つ容器から目を離せなかった。
かれは無言で、私の言葉を待っているようだった。そして、ふと沈みかけている太陽に目を向けた。
「……こいつはお前にやるよ。お前の意志は高潔だ。たが、だかな、お前の魂は、どう足掻いても俺らと同じだ。お前の翼は蝋で出来てる。俺らが持てる最高級さ」
空には星が瞬き始めた。
「じゃあな」
かれはあの笑いを、もうしなかった。
私はただ、立ち尽くしていた。
 
「あなた、何しているの!もう自由時間は終りよ。さっさと入りなさい。しかも、フェンスまで壊して!お母さんに言いつけますからね」
センセイの声で我に返ったとき、私の高潔な意志など跡形もなく消え去った後だった。
私は例の容器を草むらに投げ棄て走り出した。

そして2年後、私は例の容器とふただび対面した。
ただ、かれのなまえはついぞ思い出すことはなかった。



こんなだったか?多分リコーダーのワセリンと初対面したときはこんな感じだった気がする。
しかしなぜ小説風に書き出したのか……。
まあいいか。tehuさんみたいには成れねぇな。